花粉と蜜蜂

花粉と蜜蜂

ハチの祖先は、もともと肉食だったとされています。
獲物を捕らえて幼虫に与える暮らしから、あるとき、花粉を集める暮らしへと切り替わったグループが現れました。
それが、今のミツバチにつながっています。
獲物は捕らえるたびに反撃してきますが、花粉は逃げも反撃もしません。
狩りよりも計算の立つ暮らし方だった、という見方があります。

蜂が持ち帰る花粉団子は、両足合わせて40ミリグラムを超えることもあり、自分の体重の半分近くになる場合もあるとされています。
前脚と中脚で体についた花粉をかき集め、少し蜜で湿らせます。
後ろ脚には、くせのある毛が縁取る、くぼんだ場所があり、そこに花粉を押しつけて固めていきます。
この部分は「花粉かご」と呼ばれています。
かごの中には一本の長い毛があり、串のように花粉団子を支えています。

一つの花粉団子は、ほぼ一種類の花に由来するとされています。
色にも違いがあり、淡い黄色から濃いオレンジ色のものが多い一方、栃の木や科の木のように赤みや緑みを帯びた花粉もあります。
この行き来は、蜂にとっての栄養集めであると同時に、結果として花の受粉にもつながっています。

巣に戻ると、花粉団子は内勤の蜂に渡され、噛み砕かれて巣房に詰められます。
最後に蜜が塗られて、「蜂パン」と呼ばれる保存食になります。
蜜が主にエネルギー源になるのに対し、花粉はタンパク質やビタミン、ミネラルを補い、幼虫の栄養源になります。

養蜂家の中には、この花粉を蜂蜜とは別に、狙って集める人もいます。
使うのは「花粉トラップ」と呼ばれる道具です。
巣箱の入り口に、蜂がやっと通れるくらいの穴が並んだ板を取り付けます。
蜂が通り抜ける際に、脚についた花粉団子だけが引っかかり、下の受け皿に落ちる仕組みになっています。
ただ、花粉は巣の中の子育てにも欠かせないため、採りすぎないよう加減しながら集めることになります。

集めた花粉は、乾燥させてそのまま粒状の食品として売られることもあります。
蜂にとっての貯蔵食が、人にとっては、また別の商品になっているのです。

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