切れる場面

切れる場面

十割そばは、小麦粉などのつなぎを使ったそばに比べ、「切れやすい」と言われます。
ただ、その切れる場面は一つではありません。

生地を伸ばしているとき。
包丁で切ったあと、麺をほぐすとき。
干している途中。
ゆでているとき。
ゆでたものを、箸で持ち上げるとき。
この五つの場面で、切れる理由が同じとは限りません。

生地の段階では、そば粉に小麦粉のようなグルテンの網目ができません。
そのため小麦粉を使った麺に比べ、伸ばしたり、切った麺をほぐしたりするときの力に弱くなります。
薄く伸ばすと端からひびが入り、切った麺が折れることもあります。

干している途中にも、切れる場面があります。
水分が抜けるとき、麺の表面と内部で乾き方に差が出ます。
差が大きいと、細いひびが入ることがあります。
ひびのある麺は、箱詰めや輸送の揺れで折れやすくなります。

ゆでる段階では、また別のことが起きます。
湯に入ると、麺は水を吸い、でんぷんが膨らんで糊化します。
同時に、表面などからでんぷんを中心とした成分がゆで湯へ出ていきます。
ゆですぎると、麺の形を保つ力が落ちて、切れやすくなります。

同じ「切れる」でも、生地を扱う段階、乾燥する段階、ゆでる段階、食べる段階では、麺にかかる力も、麺そのものの状態も違います。
箸で持ち上げたときに切れたとしても、その原因がその瞬間に生まれたとは限りません。
乾燥やゆでの途中でできた弱い部分が、持ち上げたときに初めて切れることもあります。
どの段階で原因が生まれ、どの場面で切れたのかは、同じとは限りません。

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