丸から六角形へ

丸から六角形へ

巣房は、六角形をしています。
なぜこの形になるのかについては、六角形が最も材料を節約できるから、と説明されることがあります。
数学的には確かに、六角形にはその性質があります。
ただ、蜂がどうやって六角形の巣房を作っているのかは、それとは別の問題です。

巣房は、作られた直後は丸い形をしています。
まず円筒形に近い形が作られ、2013年の研究では、この丸い巣房が六角形に近づいていく様子が報告されています。

その研究では、隣り合う円形の巣房が接する場所で、蜜蝋が熱によって流れ、六角形に近づいていくと説明されています。
蜜蝋がおよそ45度前後になると、やわらかく流れる状態になるという前提に基づいています。

一方、別の研究では、赤外線とサーモグラフィーで実際の造巣を観察しています。
そこで測定された蜜蝋の温度は、およそ34度から38度ほどで、流れるとされる温度には届いていませんでした。
この研究では、蜂が触角や大顎、脚を使って、蜜蝋を直接加工している様子が観察されています。

円形から六角形へと変わる過程で、蜜蝋の物理的な性質と、蜂自身の働きが、それぞれどこまで形を決めているのか。
この点については、2016年に発表された研究でも、異なる説明が検討されています。

正三角形、正方形、正六角形は、隙間なく平面を埋められる正多角形です。
古代ギリシャの数学者パップスは、そのなかでも六角形が効率よく面積を囲めることについて論じています。
ただ、曲線を含むほかの形まで含めて、同じ面積の領域に平面を分けるとき、正六角形の配置が周囲の長さを最小にすることが一般的に証明されたのは1999年でした。
数学者トーマス・ヘイルズによる「蜂の巣予想」の証明です。

蜂が、その証明を知っているわけではありません。
六角形がどうやって生まれるのかは、数学の答えほど単純ではありません。

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