韃靼という種類

韃靼という種類

「ダッタンそば」と書かれた商品があります。
名前を見ると、純粋に韃靼(だったん)そばだけでできているように受け取られることがあります。
ただ、多くは、「普通そば」などとの配合です。
そして、配合される韃靼そばは、普通のそばとは植物として異なります。

同じそば属ではありますが、種としては分かれています。
オレンジとレモンが同じ属のなかで別の種に分かれているのと、近い形の違いです。
栽培されてきた土地も違います。
韃靼そばは、気温が低く、ほかの作物が育ちにくい土地でも育つ性質があります。
そのため、中国の南西部、チベット、ネパール、モンゴル、ロシア南部など、厳しい環境の土地で長く栽培されてきました。
実の形も少し違い、普通そばの実は三角錐に近いのに対し、韃靼そばの実は丸みがあり、表面に凹凸があります。

韃靼そばの粉や麺には、はっきりした苦味があります。
古くから「苦そば」と呼ばれてきた由来です。
苦味は、ルチンが分解される過程で生まれるものとされています。
ルチンの含有量自体も、普通そばより多くなっています。

苦味が強いため、純粋な韃靼そばだけで麺にすると、食べにくくなります。
市販されている「ダッタンそば」「ダッタン入り」の多くが配合になっているのは、そのためです。
比率を上げすぎると、苦味が強くて食べにくい。
下げすぎると、韃靼を加えた意味が薄れます。
配合は、その間の範囲のなかで決まります。
比率が表に書かれることは少なく、商品ごとに違いがあります。

日本では、ルチンを含む食材として注目されることも増えました。
苦味を抑えた品種や加工法も出てきています。
苦味の元となる酵素の働きを抑える方法や、苦味の少ない品種の開発が進んでいます。
栽培地は北海道が中心で、長野などでも栽培されています。

海外では、別の方法で扱われてきました。
原産地では、韃靼そばが主食として欠かせない存在でした。
中国の南西部やチベットでは、実を焙煎してから使う方法があります。
焙煎によって、苦味の元になる酵素の働きが止まり、苦味が出にくくなります。
茶として飲む「苦蕎茶(くきょうちゃ)」も、この焙煎を経たものです。
中国では、約千三百年前の医学書にも、韃靼そばの薬としての記載が残っています。

「そば」と呼ばれているものの中には、別の種である韃靼そばが含まれることがあります。
種としての違いがそのまま商品の名前に現れる場合もあれば、配合のなかに混ざって、表からは見えにくくなる場合もあります。
ひとつの呼び名のなかに、別の種があり、その含まれ方も一様ではありません。

一覧に戻る