残された黒い点

残された黒い点

そばの麺をよく見ると、小さな黒い点が散らばっていることがあります。
自家製粉や手打ちのお店で、よく見かけます。
更科そばのように白い麺では、ほとんど見かけません。
そば好きの人たちは、これを「ホシ」と呼びます。
夜空に散らばる星のように見えることから、そう呼ばれてきました。

ホシと呼ばれる点には、二つの由来があります。
ひとつは、そばの実の殻が細かく砕けて、粉に混ざったもの。
もうひとつは、実が枝についていた付け根の部分が褐変し、ホシとして残るものです。

殻は、選別や脱穀の工程が整った機械のラインであれば、比較的きれいに取り除くことができます。
石臼だけで処理する場合には、石の面と面で低速にすり潰すため、殻を完全には分離しきれず、細かい破片が粉に混ざりやすくなります。
それでも石臼を使うのは、在来種のように粒が小さく不揃いな実を扱いたい場合や、大きな設備を持たない小規模な作り手であることが理由に挙げられます。
挽く速さと引き換えに、殻の破片も一緒に受け入れることになります。

一方、付け根由来のホシは、品種にかかわらず現れます。
実そのものの一部なので、殻のように取り除くという工程の対象にはなりません。
丸抜きにした実から、この部分だけをひとつずつ取り除くのは、手間のかかる作業です。
実の中心部分だけを使う更科系の粉では、この部分は含まれにくく、ホシは現れにくくなります。
実を広く使うほど、この部分も一緒に挽き込まれ、ホシとして残ります。
新そばの時期には、緑がかった麺に、こちらの淡い色のホシが出ることもあります。

市販のそばの中には、色をつけて、ホシに似た見た目に仕上げているものもあります。
自然にできたホシと、あとから加えられたホシとは、見た目だけでは区別がつきにくいものです。

麺に散らばる黒い点は、殻を取りきれなかった痕跡というより、そのそばをどう作るかという姿勢が、ホシとして残ったものです。

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