容器という設計

容器という設計

蜂蜜を使うとき、スプーンを使うのが一般的な方法です。
瓶の口に近づけ、すくい取る。
その動作は自然に思えますが、スプーンを使うということは、スプーンを蜂蜜の中に入れるということでもあります。

スプーンの材質については、いくつかの情報があります。
銀や銅、素材が不明な安価な金属は推奨されていません。
蜂蜜は酸性が強く、粗悪な金属に触れると金属成分が溶け出す可能性があるとされています。
一方で、18-10ステンレス程度の品質であれば問題ないとされています。
「金属のスプーンはすべて使ってはいけない」という話を聞くことがありますが、それは材質の違いを一括りにしたものです。

材質とは別に、水分の問題があります。
蜂蜜は水分含有量が低く、その浸透圧によって微生物が繁殖しにくい状態にあります。
ただし、外部から水分が混入すると、その均衡が崩れます。
濡れたスプーンを使うことで、水分と雑菌が混入し、発酵の原因になります。
材質の問題より、こちらの方が日常的に起きやすいかもしれません。

チューブ型の容器は手で絞って使います。
スプーンを経由する工程が発生しない。
材質を気にする必要がなく、水分の混入経路もひとつ減ります。
使い方を想定して形を作った容器は、その想定が扱いの中に現れます。

ただ、チューブには終わりがあります。
絞り切れない蜂蜜が残ります。
最後は柄の長いスプーンを差し込んでかき出すか、お湯を入れて溶かすか。
スプーンを使う場合、柄に蜂蜜が伝って手がベタつきます。
思っている以上に蜂蜜が残っていることもあります。
スプーンを使わない設計の容器が、最後はスプーンを必要とする段階に来ます。

設計が想定した使い方と、使い終わりの現実は、必ずしも一致しません。

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