スゲとミツバチの者

スゲとミツバチの者

古代エジプトでは、ナイル川の上流側を上エジプト、下流側を下エジプトと呼びます。
王は、この「二つの土地」を治める存在でした。
王の称号には、ミツバチを表すヒエログリフが使われていました。
「スゲとミツバチの者」という称号です。
この称号が現れるのは、第1王朝のデンの治世だとされています。

スゲは上エジプト、ミツバチは下エジプトを表す、という読み方が広く知られています。
ただ、近年の研究では、この読み方そのものに疑問が出されています。
スゲという植物自体が、もともと上エジプトの象徴ではなかったのではないか、という指摘もあります。

養蜂そのものの記録も、古い時代にさかのぼります。
デンの時代から500年以上を経た第5王朝、ニウセルラー王の太陽神殿には、現在知られている世界最古の養蜂の絵が残されています。
紀元前2450年ごろのものとされています。

巣箱に煙を送る場面も描かれています。
煙には蜂をおとなしくさせる働きがあり、古代エジプトでもこの性質を利用していたと考えられています。
そのあとには、蜜を取り出し、容器に収めて保存する様子が続きます。

時代はさらに下ります。
プトレマイオス朝時代の文書『パピルス・ソルト825』には、太陽神ラーの涙が地面に落ち、そこから蜂が生まれたという話が記されています。
蜂蜜が神殿への供え物としても扱われていたことは、別の資料からも分かっています。

王の称号にも、働く人々の巣箱にも、神の物語にも、ミツバチが登場します。

一覧に戻る