ジョージアの古代蜂蜜

ジョージアの古代蜂蜜

蜂蜜は、もともと人間のためにあるものではありません。
花が実をつけるために蜜で虫を誘い、蜂がその蜜を自分たちの食料として貯め込む。
その仕組みの中で、たまたま生まれる副産物です。
蜂が自分のために蓄えていた蜂蜜を、人間が見つけ拝借してきたにすぎません。

その拝借が、どれくらい昔から続いているのかを示す発見が、ジョージア(旧グルジア)にあります。

2003年、ジョージア南部で、パイプラインの建設中に古墳が見つかりました。
中からは女性のものとみられる遺骨と、複数の土器が出土しました。
複数の種類の蜂蜜が一緒に埋葬されていたことから、この女性は身分の高い、経済的に恵まれた人物だったと考えられています。
古代エジプトでも、死者とともに蜂蜜を埋葬する風習があり、遠く離れた地域で、似たような習慣が独立して生まれていたのかもしれません。
土器の内壁から検出された花粉を調べると、リンデン(菩提樹)、野の花、ベリー類という3種類の蜂蜜で、およそ5500年前のものと分かりました。
それまで最古とされていたツタンカーメンの墓の蜂蜜より、2000年ほど古い年代です。
この発見により、南コーカサス地方は、組織的な養蜂の最も古い痕跡の一つとして注目されるようになりました。

正確に言うと、見つかったのは蜂蜜そのものではなく、土器の内側に残った痕跡です。
糖は微生物による腐敗を免れても、メイラード反応という化学変化だけは止められず、5500年という時間の中で、たいてい黒く変質した物質になっていたとされています。
「古代の蜂蜜が今も食べられる」という話が世界各地にありますが、これは腐りにくさという性質を物語として誇張した結果のようです。

食べられる状態では残っていなくても、5500年前にどの花から採れた蜜だったかは、今も花粉から特定できます。
花と蜂の関係が、形を変えながらも、5500年前から今に伝わっているということのようです。

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