8の字のダンスと単花蜜
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ある働き蜂が、マヌカの茂みで蜜を見つけたとします。
巣に戻ると、その蜂は仲間の前で、独特な動きを始めます。
体を震わせながら直進し、弧を描いて元の位置に戻る。
これを繰り返すと、動きの軌跡は8の字を描きます。
この動きには、行き先の情報が組み込まれています。
直進する時間の長さが、巣からの距離を表し、およそ1秒続けば1キロメートルほど先だとされています。
直進する向きの角度は、太陽の方向を基準にした、蜜源のある方角を示します。
この踊りは、巣の中に何枚も垂直に並ぶ巣板の上で行われます。
周りの蜂はその近くに集まり、触角で踊っている蜂の体に触れながら、振動を感じ取ります。
踊っている蜂の体には、訪れた花の匂いも付いています。
実際に行ったことがなくても、方角と距離、そして探すべき花の見当まで、これで伝わることになります。
蜜の質によって、踊りの勢いも変わるとされています。
糖度の高い、良い蜜源を見つけたときほど、動きは激しく、長く続きます。
勢いの弱い踊りは、あまり多くの仲間を引き寄せません。
質の良い場所ほど、より多くの働き蜂が向かうことになります。
情報を受け取り、実際にマヌカの花にたどり着いた蜂は、巣に戻るとまた同じ踊りを始めます。
こうして情報は伝言のように広がり、同じ場所へ向かう蜂の数は、時間とともに増えていきます。
そこで一度マヌカの花に出会うと、その日の間は、他の花には目もくれない傾向があります。
花を変えるたびに、その扱い方を覚え直すのは手間がかかるため、一種類に絞った方が効率が良いのだろう、と研究者は考えています。
同じ蜂でも、日によって絞る花は変わり、マヌカに決まっているわけではなく、次の日には別の花に絞ることもあります。
一匹が見つけた場所の情報が、踊りを通じて群れ全体に広がり、同じ花に集中して通う蜂が増えていきます。
マヌカの茂みが濃い場所に巣箱を置けば、この仕組みがそのまま働くことになります。
一匹の踊りから、群れ全体の動きが決まっていくのです。