粒と粉

粒と粉

米は、粒のまま炊いて食べます。
そばは、挽いて粉にして、麺にして食べます。
どちらも主食として食べられてきましたが、口に入るまでのかたちが違います。

そばは、痩せた土地でも育ちます。
寒さにも比較的強く、種をまいてから収穫まで二、三ヶ月と短い。
米や麦が育ちにくい土地や、冷害で稲が実らなかった年でも、そばは実をつけました。
飢饉に備える作物として、各地でそばが植えられた記録も残っています。
主食を補う作物として、山間部や寒冷地で育てられてきました。
土地の条件が厳しいほど、そばの役割は大きくなりました。

ただ、収穫したそばの実は、米のようには食べられません。
米は、外側の糠を削れば、中心の胚乳が粒のまま残ります。
胚乳がしっかりまとまっているので、水で炊いて、粒のまま食べられます。
そばの実は、粒が小さく、外側の殻や甘皮を除くのが難しい。
中の部分も砕けやすく、粒のかたちで炊くのには向きません。
小麦の粒も、外皮が硬く、そのまま炊いて食べるには向きません。

そこで、そばは粉にされました。
殻を除いて、あるいは殻ごと、挽いて粉にする。
砕いてしまうことで、食べられる状態にしたわけです。
ただ、粉のままでは、口の中でまとまらず、食べにくい。
はじめは、湯で練った団子や、こねて焼いたものとして食べられていました。
水を加えてまとめ、細く切って麺にする食べ方は、そのあとに広がりました。

米は、粒の構造がしっかりしていたから、粒のまま食べる方向に進みました。
そばは、粒のままでは扱いにくかったから、粉にして、水でまとめる方向に進みました。
小麦は、粒のままでは外皮が硬かったから、粉にする方向に進みました。
粒の構造と、育つ土地の条件。
それぞれの違いが、同じ主食の系統のなかで、食べ方を分けてきました。

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