干しそばになるまで

干しそばになるまで

そばは、挽きたて、打ちたて、茹でたてが揃うときが、もっともおいしいと言われます。
「三たて」と呼ばれる三つの条件です。
製粉、製麺、茹でと工程を短く繋ぐほど、味も香りも残ります。

ただ、それでは打ったその場でしか食べられません。
打って麺にしたあとは、生のままでは長くもたず、遠くへ運ぶこともできません。
日常の食卓に並ぶために、そばが乾燥されるようになりました。
水分を抜いて、乾いた状態で運び、長く置けるようにする。
干しそばは、そのための工夫です。

工程の流れは、生のそばと前半は同じです。
そば粉に水を加えてこね、薄く延ばして、細く切る。
ここまでは、打ちたてのそばと変わりません。
切ったあとから、乾燥の工程が入ります。
細い麺を、棒に掛けて吊るしたり、平らに広げたりして、空気にさらして水分を飛ばしていきます。

乾燥は、急いではいけません。
急に乾かすと、麺の表面と内部で乾き方に差が出て、表面に割れが入ります。
湿度や温度を段階的に変えながら、じわじわと水分を抜いていく。
工業生産では、長時間かけて乾燥室を通します。
時間をかけることで、麺が均一に乾き、割れにくくなります。

そば粉だけで打ったそばは、小麦粉を加えたそばより、乾燥の工程が難しくなります。
粘りがないため、乾く過程で麺が縮んだり、割れが入りやすかったりする。
乾燥の温度や時間を、より細かく調整する必要があります。
乾いた麺は、束ねられて袋に入り、流通に進みます。
冷蔵もいらず、季節を選ばず、遠くへ運べる。

打ちたてのそばと、乾燥を経たそば。
同じ「そば」でも、できあがるまでの時間軸が違います。
そばに乾燥という工程が加わったことで、日常の食卓に届く道筋ができました。

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