同じ名前の蜂蜜

同じ名前の蜂蜜

同じ「マヌカ」という言葉でも、地域によって指す木が違います。
北部ではマヌカという名前がカヌカ(クンゼア属)を指し、マヌカハニーの蜜源となる木の方は、カヒカトアと呼ばれています。

この木は、マオリの文化の中でタオンガ、大切な資産のひとつとされ、歌や諺にもたびたび登場してきました。
枝を束ねると折れにくいことから、力を合わせることの喩えとしても語られています。

マヌカと同じ種類の木は、ニュージーランドだけでなく、オーストラリア南東部にも自生しており、ニューサウスウェールズやビクトリア、タスマニアなど、複数の州にまたがって育っています。
ただ、ニュージーランドではこの木がほぼ一種類しかないのに対し、オーストラリアにはよく似た木が70種を超えており、マヌカもその数多くの中のひとつにすぎませんでした。
特別な木としては扱われず、現在「ティーツリー」として親しまれている木こそが、マオリにとってのマヌカのように、暮らしに深く結びついてきた木だったようです。

木との関わりだけでなく、蜂との関わりにも、違いがあります。
オーストラリアには、群れで暮らし蜜を蓄えるハリナシバチがいて、先住の人々は、ミツバチが持ち込まれるよりずっと前から、その蜜を利用してきました。
ミツバチは巣箱ごと船で運ばれ、1822年にはすでに持ち込まれていたという記録があり、養蜂はこの時点から始まっていたことになります。
ただ、当初の蜂蜜は、入植地の周辺で得られる様々な花を集めたもので、マヌカに絞られたものではなかったと考えられます。
マヌカだけを集めた再現性のある蜂蜜が生まれるには、養蜂家が意図的に巣箱をマヌカの茂みへ移す必要があります。

「マヌカハニー」という呼び名自体は、オーストラリアでも古くから使われてきました。
タスマニアには、1897年の記録に、その名前で蜂蜜を作っていた養蜂場が残っています。
ただ、当時は成分を調べる手段も基準もなく、その名前は地域での呼び方をそのまま引き継いだだけのものでした。
70種を超える似た木の中から、正確に一種類だけを選び出せていたかどうかは、今となっては確かめようがありません。

1980年代から90年代にかけて、ニュージーランドの研究者たちがマヌカハニーに含まれる特定の成分を明らかにし、名前だけでなく成分でも裏付けられるようになったこの蜂蜜は、世界的な評判を得るようになりました。
オーストラリアでは、大手の蜂蜜メーカーが、1990年代半ばからマヌカハニーの研究や商品化を進めてきました。
同じ名前を持つ両国の蜂蜜が、あらためて並んで語られるようになったのは、この頃からのことです。

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