もりとかけ
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そばには、大きく分けて二つの食べ方があります。
一つは、冷たい麺を汁につけて食べる方法。もりそばと呼ばれます。
もう一つは、温かい麺に薄い汁をかけて食べる方法。かけそばと呼ばれます。
もりとかけ。この二つが、そばの食べ方の柱です。
もりのつけ汁とかけの汁は、味の濃さが違います。
つけ汁は濃く、少量を麺の先につけて食べる。
かけの汁は薄く、麺と一緒に汁も飲む。
そば屋では、つけ汁を「辛汁」、それをダシで伸ばしたかけの汁を「甘汁」と呼び分けています。
一つのベースから濃さを変えて、二つの汁が作られています。
汁の分量と濃さが、逆の関係で組み合わさっています。
麺の状態も違います。
もりそばは、茹でたあと冷水でしっかり締めます。
表面のぬめりが取れ、コシが引き立ちます。
かけそばは、茹でたあと湯にくぐらせて温め、汁のなかに入ります。
温かさの中で、麺は少しやわらかくなります。
食べる動作も違います。
もりそばは、箸で麺を持ち上げ、汁につけ、口へ運ぶ。
三つの段階を、一口ごとに繰り返します。
かけそばは、麺と汁を一緒にすくって口に運ぶ。
一つの動作の中で、両方が入ります。
麺の性質によっては、向き不向きもあります。
そば粉だけで打ったそばは、湯のなかで切れやすい性質があります。
かけそばだと、湯のなかで麺が伸びたり、途中で切れたりしやすい。
冷水で締めるもりそばの方が、麺の状態を保ちやすい仕上がりになります。
温度も、感じ方に影響します。
冷たいそばは、香りが控えめで、麺の食感がはっきり出ます。
温かいそばは、湯気とともに香りが立ち、麺は少しやわらかい印象になります。
同じそばでも、もりかかけか、で違うそばのように感じられることもあります。
もりとかけは、麺そのものは同じでも、食べる状態を分けています。
汁の濃さ、麺の温度、口に入るまでの動作。
それぞれの選択が、味わいの現れ方を変えていきます。