花蜜から蜂蜜へ

花蜜から蜂蜜へ

花から集められた蜜には、いくつかの種類の糖が含まれています。
ショ糖、ブドウ糖、果糖などです。
その割合は、植物の種類によって大きく異なります。
糖のなかでは、ショ糖の割合が高い花の蜜も多くあります。
ちなみに、マヌカの花蜜はもともと果糖とブドウ糖が中心で、ショ糖はごく少量しか含まれていません。

蜂の体には、蜜を運ぶための器官があります。
蜜胃と呼ばれる場所です。
食べ物を消化する胃とは、別の器官です。
花から巣まで、蜜を一時的にためておくための場所です。

蜜胃の中では、酵素が働き始めます。
インベルターゼという酵素です。
蜂の頭部にある下咽頭腺という器官から分泌され、蜜と混ざります。
この酵素は、水の分子を使ってショ糖を切り離します。
加水分解と呼ばれる反応です。
ショ糖という一つの分子が、ブドウ糖と果糖という、二つの異なる分子に分かれます。
もともとショ糖の少ない花蜜では、この変化の大きさも異なります。

ブドウ糖と果糖は、性質が違います。
ブドウ糖は水に溶けにくく、結晶になりやすい性質を持っています。
果糖は溶けたままの状態を保ちやすい性質です。
蜂蜜が時間とともに白く結晶化するかどうかには、こうした糖の組成も関係しています。

巣に着くまでの飛行のあいだにも、この反応は続いています。
花を出た時点の蜜と、巣に着いた時点の蜜は、すでに違うものになっています。
巣に戻った蜂は、蜜を口移しで別の蜂に渡すこともあります。
巣房に収められたあとも、反応はすぐには止まりません。
水分を飛ばす作業と並行して、しばらく続きます。

花から出た時点の蜜と、瓶に入っている蜂蜜は、同じものではありません。
その変化は、蜂が花を離れたときから、すでに始まっています。

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