光を感じる時間
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そばは、涼しい時期に育つ作物という印象があるかもしれません。
けれど、そばには「夏そば」と「秋そば」という区分があり、栽培される時期は品種によって大きく違います。
同じ「そば」と呼ばれていても、畑で育つ季節は一つではないのです。
この違いのもとになっているのは、気温だけではありません。
そばの品種には、日の長さ(日長)に対する反応の違いがあり、大きく夏型、中間型、秋型に分かれます。
これは地域や暦による区分ではなく、それぞれの品種が日長にどう反応するかという、測定された性質にもとづく分類です。
秋型の品種は、日が短くなっていくことに反応して花を咲かせる性質が強いものです。
夏型の品種は、日長への反応が弱く、日の長さに関わらず開花に向かいます。
秋型の品種を、日の長い夏にまくと、花は咲き続けるものの実がつきにくく、収量が大きく落ちます。
一方、夏型の品種は、日長への反応が弱いぶん、春にまいても六十日ほどの短い期間で開花し、実をつけます。
この違いを利用して、同じ畑で春まきと夏まきを組み合わせ、年に二回収穫する作型もあります。
収穫の時期も、七月から八月ごろと、十月から十一月ごろとで分かれます。
秋そばは、昼と夜の寒暖差が大きい時期に実が熟すため、澱粉がしっかりと熟成し、香りが強く出るといわれています。
夏そばは生育の早さのぶん、実の熟し方が浅く、軽くさわやかな風味になる傾向があります。
実の色にも違いが出て、夏そばには緑がかった粒が残り、秋そばは茶褐色に近い、より成熟した色合いになります。
「新そば」という呼び方は、秋の収穫を指して定着してきました。
かつては秋型の品種が中心で、夏に品質のよいそばを収穫できる品種は、ほとんどありませんでした。
日長への反応が弱い夏型の品種を選び、夏そばを安定して収穫できるようになったのは、比較的近年のことです。
秋の収穫がそばのほとんどを占めていた時期に定着した呼び方が、夏にも収穫できるようになった今も、そのまま残っています。
そばの栽培時期や実りかたは、気温だけで決まっているわけではありません。
日の長さをどう感じ取るか、その反応の違いが、品種ごとの栽培時期と、実の熟し方を分けています。