そば前

そば前

そば屋に入ると、メニューにそばより先に、酒と肴が並んでいることがあります。
板わさ、焼き海苔、だし巻き卵。
そばを食べに入ったはずが、先に酒を頼む人もいます。

こうした酒と肴は、「そば前」と呼ばれます。
もともとは、そばを食べる前に飲む酒を指す言葉でした。
今では、一緒に出される肴や、その時間まで含めて使われることがあります。
「そば酒」ではなく、「そば前」という呼び方です。

この言葉の起源は、はっきりしません。
よく語られるのは、そばが出てくるまでの時間に、酒と肴を楽しんだことから生まれたという説明です。

由来そのものは定かではありませんが、江戸時代のそば屋で酒が飲まれていたことは、記録にも残されています。
幕末の江戸の様子を記した『江戸自慢』には、「必蕎麦屋には酒あり、しかも上酒なり」とあるとされています。

焼き海苔、板わさ、そば味噌、玉子焼き、天ぷらなどは、そば前の肴として今も見かけるものです。

そば前のあとに、そばを一枚頼む。
酒も肴も、それだけで終わるものではなく、そのあとにそばがあります。
「そば前」という名前には、最初から次に食べるものが入っています。

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